最新の研究トピックスを紹介
虫に学ぶ”不老長寿研究”,
さらに”虫を食べて”健康に!
生物機能科学科?教授 井内 良仁
不老長寿を目指して ?ヤマトシロアリの長寿命?繁殖戦略?
一般的に、寿命の長いヒトやゾウのような生物は子どもが少なく、ネズミや虫のように子どもをたくさん産む生物は寿命が短いという事実があります。しかし、そのどちらも両立する、長寿命で且つ子だくさんの生物がまれに存在します。その代表がシロアリです。特に日本のヤマトシロアリは、昆虫なのに30年以上という”超長寿命”を誇り、その長生きのあいだ繁殖し続けるという、いわゆる不老長寿なのです。
いかにしてそれを可能にしているのか?そのカギは「活性酸素」。酸素呼吸によって生じ、老化や寿命短縮に関わるこの活性酸素をうまく制御することで長寿と繁殖を両立させていることがわかってきました。これらの知見を私たちの健康長寿に生かせるよう、研究を行っています。
虫を食べて健康に ?昆虫食の食品機能性の研究?
「虫を食べる」とはどういうことでしょうか? やはりゲテモノ食? それとも食糧危機に備えるタンパク源? いいえ、わたしたちは昆虫食を健康長寿にプラスとなる”機能性食品”と考えています。
今まで食品としての研究が十分に行われてこなかった「昆虫食」に科学の光を当て、その成分分析や食品機能性評価を行っています。そしてわかってきたのは、肥満を抑えるメタボ抑制効果、筋力の衰えを補うアンチエイジング効果、そして病気予防に役立つ免疫力増強効果など、様々な未知の食品機能性が昆虫食に秘められているということでした。 このように、私たちの健康長寿に寄与するような昆虫食の付加価値を見出し、その魅力を多くの人に知ってもらうことで、昆虫食の新たな可能性を模索したいと考えています。