「月刊農学部長」第58号
「月刊農学部長」第58号
4月 身近な山菜と野生のサル
植物が一斉に芽吹くこの季節,多種類の山菜を楽しむことができます。先日,理学部の先生に教えていただいて,附属農場周辺で「タラの芽」を収穫しました。初めて自分で天ぷらを揚げてみたのですが,山菜の王様と言われるだけあって,独特の風味がありとてもおいしくいただきました(写真中右上)。同時に,天ぷらに大量の油を使うことに驚きました。油が高騰している現在,とても贅沢な食べ物であることを実感しました。
次の週末に近所の山道をランニングしながら探してみると,写真のように結構自生していることがわかりました。細い幹に鋭い棘が多数あり,ロープとか革手袋とかを準備しておかないと,簡単には採取できません。およその場所は特定できたので,来年は本気で採取してみようと考えています。その他,「つわ」は子供のころから親しんでいる山菜で,その気になって探すと山中いろいろな場所に自生しているのが確認できます。つわは,小魚と一緒に炒めて甘辛く味付けすると,結構おいしいご飯の友ができます。
そんな散策中に,野生の日本ザルに出くわしました。結構大きなサルで一心不乱に椿の蕾を食べていました。近くに寄ってビデオを向けたところ,横取りされると思ったのか,「キー」と歯をむき出しにして騒ぎはじめました。「いやいや,おじさんは椿は食べないから心配しないで,ちょっと撮らせてくれよ」と話しかけながら撮り続けたビデオの1コマが下の写真です。話が通じた訳ではありませんが,今度はチラ見しながらも,おとなしくむしゃむしゃと食べてくれました。先ほどの鳴き声に呼応して周りがザワザワするので,よくよく見ると近くの高い木の上にも新芽を食べる子ザルが数匹いたり,遠巻きに様子を覗っている大柄のサルもいたりして,いつの間にかサルの大家族の中に迷い込んでいたようでした。山菜が取れるような所には,当然野生動物も集まってくるわけで,無神経に踏み込まないように気を付けないといけません。
あのタラの芽は,きっと棘に守られているのでサルたちに食べられないで,無事葉っぱを茂らして成長するのでしょう。そう思うと,安易に芽を摘んで食べるなんてちょっと気が引けます。来年収穫するかどうか,一年考えることにしました。