月刊農学部長 第60号
月刊農学部長 第60号
6月 全国農学系学部長会議atドラマ撮影現場
6月1,2日に第148回全国農学系学部長会議が皇居近くの学士会館で行われました。毎年この時期に東京で開かれるのですが,過去3年間はコロナ禍の影響でオンライン開催でした。ということで,私にとっては最初で最後の対面形式会議となりました。農学あるいは農学部の近未来に関わる重要な議題が多く,内容の濃い会議でしたが,会場の雰囲気も負けず劣らず印象的でした。
維新後間もない明治10年(1877年)に神田錦町にあった東京開成学校と本郷元富士町にあった東京医学校が合併し,官立大学が創立されたそうです。これが東京大学の始まりであり,この場所が日本の大学発祥の地であると玄関横の石碑に刻まれていました。学士会館そのものは,1928年に旧帝国大学出身者の知識交流を目的として建設されたようですが,天井の彫刻や漆喰の柱などが歴史と伝統を感じさせる風格ある空間を演出しています(写真)。今でも玄関入ってすぐのところに,旧帝国大学だけの宣伝ブースとラウンジスペースが確保されていて,設立当時の目的を誇示しているように感じました。
そんな品格溢れる場所ですが,何となく見覚えがあると感じた人もいるのではないでしょうか?実はこの廊下や会議室はいろいろな映画やTVの撮影に使われているそうです。例えば,2013年に大ヒットした「半沢直樹」でも銀行の会議や土下座シーンなどで数多く登場しました。その他,「下町ロケット」,「陸王」,「ドクターX5」など,見たことは無くても名前ぐらいは知っている有名ドラマの撮影が数多く行われたようです。こんなに歴史的価値も利用価値も高い建物ですが,近々改修工事が入ると聞きました。2003年には国の有形文化財にも登録されていますので,解体されることはないだろうと思いますが,今のうちに見ておいた方がいいかもしれません。意外と誰でもいつでも入れますので,中のレストランでランチでも食べて館内を見学してみてください。きっとドラマのシーンがよみがえってくると思います。