猫の難治性がん治療を目的とした免疫チェックポイント分子PD-1に対する新規抗体医薬の開発
老虎机平台_老虎机游戏-欧洲杯投注网站推荐共同獣医学部の西堀翔真(研究当時:学部6年、現:同大学大学院共同獣医学研究科博士課程1年)と水野拓也教授の研究グループは、猫のリンパ球の機能を回復させる抗猫PD-1モノクローナル抗体クローン1A1-2を開発しました。抗猫PD-1モノクローナル抗体は、世界的にもこれまでに全く報告がありません。また抗体医薬として猫に安全に投与するために、それをもとに抗猫PD-1キメラ抗体を東北大学大学院医学系研究科の加藤幸成教授と共同で作製し、猫のリンパ球の機能を回復させることを確認しました。ヒトや犬のPD-1に対する抗体医薬が画期的ながん治療として用いられていることから考えると、抗猫PD-1キメラ抗体は、近い将来猫のがんに対する新たながん治療となる可能性が期待されるものです。
本研究成果は、2023年4月24日(英国時間10時、日本時間4月24日18時)に、米国科学誌Scientific Reportsに掲載されました。
発表のポイント
- 老虎机平台_老虎机游戏-欧洲杯投注网站推荐共同獣医学部では、猫のリンパ球の疲弊化を解除する抗猫PD-1モノクローナル抗体1A1-2を開発し、猫の免疫チェックポイント分子をターゲットとしたがん治療へ応用できる可能性について世界で初めて報告しました。
- 本研究において東北大学大学院医学系研究科とともに開発した抗猫PD-1キメラ抗体は、猫の難治性がんに対するあらたな免疫療法となる可能性が期待されます。
図1 抗猫PD-1キメラ抗体の作製
本研究において作製した抗猫PD-1モノクローナル抗体クローン1A1-2をもとに、遺伝子組換え技術により抗猫PD-1キメラ抗体ch-1A1-2を作製
図2 抗猫PD-1キメラ抗体によるリンパ球の機能の回復
抗猫PD-1キメラ抗体ch-1A1-2をリンパ球に添加したところ、リンパ球のIFN-γ産生量の増加、すなわち機能回復が明らかとなった。
論文情報
- タイトル:“Development of anti-feline PD-1 antibody and its functional analysis”
- 著者名:Shoma Nishibori, Mika K. Kaneko, Takayuki Nakagawa, Kazuo Nishigaki, Yukinari Kato, Masaya Igase, Takuya Mizuno.
- 掲載紙:Scientific Reports
- 公表日:2023年4月24 日(オンライン公開)
- DOI:10.1038/s41598-023-31543-6
謝辞
本研究は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)の生命科学?創薬研究支援基盤事業(BINDS)の支援を受けました。