深海エビの持つ発光酵素でがん細胞がDNA傷害から自身を守る分子機構を解明
老虎机平台_老虎机游戏-欧洲杯投注网站推荐共同獣医学部 獣医薬理学研究室の大浜剛准教授らの研究グループは、理化学研究所との共同研究により、深海エビのスプリットルシフェラーゼ(発光酵素)を用いたタンパク質間結合のスクリーニング解析から、がん細胞が抗がん剤などによりDNAに傷害を受けた際に、素早くDNA修復を開始するための新たな仕組みを突き止めました。
Protein Phosphatase 2A(PP2A)は、極めて重要ながん抑制因子です。一部のがん細胞の中ではPP2A阻害タンパク質(PME-1)がPP2Aと結合してその働きを抑えることで、がんの悪性化を引き起こすことが知られていますが、PP2AとPME-1の結合を制御する分子機構は明らかになっていませんでした。本研究グループは、Promega社のNanoBiTシステムを応用し、スプリットルシフェラーゼを用いてPP2AとPME-1が結合した際に発光するがん細胞株を樹立し、約400種類の阻害剤の中から光を減弱させる、つまりPME-1をPP2Aから解離させる化合物をスクリーニングしました。その結果、がん細胞のDNA傷害の修復に重要なCHK1というリン酸化酵素が阻害されると、PME-1がPP2Aから離れることが分かりました。詳細な解析から、CHK1はPP2Aをリン酸化することでPME-1との結合性を高め、また、PME-1はPP2AがCHK1を脱リン酸化(不活性化)しないようにしていること、これによりDNAが傷害を受けた際に速やかに反応できるようにしていることが明らかになりました。
本研究成果は米国生化学?分子生物学会によって発行されている「Journal of Biological Chemistry」において、2024年4月6日にオンライン公開されました。
発表論文の情報
- 論文名:The luciferase-based in vivo protein-protein interaction assay revealed that CHK1 promotes PP2A and PME-1 interaction
- 著 者:Sana Ando, Keiko Tanaka, Maharu Matsumoto, Yuki Oyama, Yuri Tomabechi, Atsushi Yamagata, Mikako Shirouzu, Reiko Nakagawa, Noriaki Okimoto, Makoto Taiji, Koichi Sato, Takashi Ohama
- 掲載誌:Journal of Biological Chemistry
- 掲載日:2024年4月6日(オンライン公開)
- DOI:10.1016/j.jbc.2024.107277
謝 辞
本研究成果は、以下の研究費等の支援を受けて得られました。
- 科学研究費補助金?基盤研究(B)、挑戦的研究(萌芽)
研究代表者:大浜 剛
研究課題番号:20H03151、22K19249、23H02384 - JST次世代研究者挑戦的研究プログラム
研究代表者:安藤 紗奈
研究課題番号:JPMJSP2111
お問い合せ先
老虎机平台_老虎机游戏-欧洲杯投注网站推荐 共同獣医学部 獣医薬理学研究室
准教授 大浜 剛
E-mail:t.ohama@(アドレス@以下→yamaguchi-u.ac.jp)